マンション探しの選択肢には、新築マンションだけでなく、中古マンションがあります。
中古マンションと言えば、幾分聞こえもいいのですが、老朽化マンションであればどうでしょうか。
それは、築年数による違いであり、築50年以上ものマンションに住むメリットはあるのかということです。
実際に好んで築50年の老朽化マンションに住む人たちもいます。そのような人たちに実際に老朽化マンションに住んでみたメリットをおうかがいしました。
実際に住んでこんなはずではなかったという声もお伝えします。
老朽化マンションに住むメリット

値段が安い
何よりも、老朽化マンションに住むメリットは、値段が安いことです。
築50年程度の老朽化マンションであれば、新築と比較して半額以下の価格で購入することができます。
実際問題、そのような老朽化マンションを低価格で購入したあと、リノベーションにお金をかけている方々も少なくありません。
新築マンションに住んだ場合、さすがにすぐにリノベーションと向き合う方々は少数で、規格化されたレイアウトの中での生活を余儀なくされてしまうことになるでしょう。すると、そのマンションに住んでいる住人すべてが、同じようなライフスタイルを送っているかのようにも見えてしまいます。
大きく変えることができないという気持ちをずっと持ち続けることで、フラストレーションが蓄積されてしまうかもしれません。
老朽化マンションは、リノベーションできることも含め、個性的であり、自由性のある発想だということができます。
ある注文住宅の会社が、社員寮として、リノベーションされた老朽化マンションを提供していることがありました。住宅の専門家が、老朽化マンションを選んでいるのです。
たとえば、金沢の街並みなどは、新しいものと古いものが共存し、世界じゅうの方々から評価されるほどの魅力を発信しています。そんなアンバランスの調和を、リノベーションした老朽化マンションにも感じ取ることができるのではないでしょうか。
立地の選択肢を広げることができる
また、老朽化マンションを含め検討することで、立地の選択肢の幅を広げることができます。
たとえば、名古屋を一例にあげれば、新築の住宅は、愛知県尾張旭市など郊外に次々と建築されて、新しいコミュニティがそこに誕生しています。尾張旭市の場合、郊外であっても名古屋駅へクルマで一時間以内で行くことができます。東京と比較しても全然環境が満たされていると言っていいでしょう。
一方で、名古屋市内では、深刻な高齢問題を抱えているようなエリアもあります。東京であれば、都市計画によってタワーマンションなどに建て替えられていくのでしょうけど、名古屋市ではそうではなく、数多くの老朽化マンションが残されたままです。
そこには、マンションと時間をともにした高齢者の方々が住んでいらっしゃるのですが、施設に移るなどして段々と空きも増えている状態です。
つまり、名古屋では、老朽化マンションを選択することで、安い価格で名古屋市内に住む選択肢を含め検討することができるようになります。
老朽化マンションで考えるべきデメリットとは

しかし、老朽化マンションにはデメリットもあるため、本気で購入を考えているのならどの程度デメリットを受け入れることができるかを検討しなければなりません。
耐震性の問題
新しいものと古いもののアンバランスがいいと感覚で受け止めるだけでなく、実際に老朽化マンションに住んでどのようなことが起こるのか、真剣に考えて決定しなければなりません。
まずみなさんが心配に思うことは、やはり地震の問題でしょう。
たとえば、東海地方では、30年以内の発生確率が88%とも言われています。いつか必ず大地震は起こるという考え方を持たなければならないでしょう。
別に地震が来ても大丈夫……と考えている方々は、本当の意味で大きい地震を体験したことがないような人たちです。
1981年以降に建築確認を受けたマンションは、新耐震基準と呼ばれているのですが、それ以外旧耐震基準のマンションでも、すべてが危険というわけではありません。
実際に大地震が起こり、それ程大きな被害を受けていない旧耐震基準のマンションも多くあり、旧耐震基準でもそれ程変わらないという意見もあります。
しかし、築50年の相当古い老朽化マンションであればどうでしょう。
1971年には、RC造の柱の帯筋間隔が30cm以下から10cm以下に改正されているのですが、もしそれ以前の建築物であれば、やはり脆弱と言わざるを得ません。
ですから、そのような老朽化マンションに住むこと自体法律で禁止されている訳ではありませんが、もし住むとなれば、大地震が起きたときにどう行動をすればいいかしっかり地震対策についても考えておくことが必要です。
水道管が老朽化しているかも
老朽化マンションは、ただ見た目が古びているだけではありません。機能的にもかなり劣ってしまっていることでしょう。たとえば、水道管です。
水道管が破裂して、水漏れを起こし階下の人たちに多大な被害を与えてしまったら……。とても笑えない状況です。
もしも、階下の住人の壁に、インテリアとして数千万円の絵画が飾られてあり、それが水漏れによって水浸しになってしまったら、その損害を水道管を破裂させてしまった上階の住人が全部負わなければならないのです。
そこで注意をしなければならないのは、保険の加入です。
おおかた火災保険に加入していることで、水漏れの問題には対応できる会社が多いようです。
であれば、保険に入っていれば安心なのでしょうか。
実はそうではありません。
保険会社によるのかもしれませんが、あいおいニッセイ同和損害保険会社(すまいの火災保険)では、火災保険で水漏れに対応することができるのですが、ただし、自分の家の損害に対して適用することができても、階下の被害に対しては対象外となっています。
つまり、階下に対して保険を適用させたいと思えば、火災保険だけでなく、オプションをつける必要があります。
そもそも、多くのみなさんが、この保険がどのようなものに対して適用されるかということまで正確に把握しておらず、ただ地震保険、火災保険に入っていれば安心という気持ちをもっているのではないでしょうか。
老朽化マンションに住むのであれば、もう少し保険に対しても真剣に内容を比較して決める必要があります。
基本、ベランダなど共有部に対しての水道管の破裂は、管理組合の責任ですが、シンクの水道管などは自己管理です。ただし、自己管理というものの、水道管に対してどのような管理を行えばいいのでしょうか。
それも疑問です。
果たして、1年に何回か、水道管の状態を業者に確認してもらっている人たちはどの程度いるのでしょうか。しかし、それでも水道管の破裂は起こることがあります。起こったときには、責任のありかは、そこに住んでいる人以外にはないのですよと言っているまでです。
他にもいろいろ起こりうる問題

水道管の破裂の問題だけではありません。実際に老朽化マンションに住んでみて、いろいろと思わぬトラブルに遭遇してしまうことがあります。その確率は、新築のマンションと比較してはるかに上です。
たとえば、老朽化マンションはどんどん住む人が減少してしまうため、管理組合の当番がすぐに回ってきてしまうかもしれません。このようなことも小さいようで大きな問題です。
また、価格が下がれば、寮化する率も高まり、外国人の住居率も高まり、一体誰が住んでいるのかわからないという状況も起きてしまうでしょう。
また、老朽化マンションには、新築の頃からともに生活してきた高齢者が多く住んでいます。同じような高齢の方々が多く住み、不在しているのは、若者であったり、子供たちの層です。若い人たちが不在の光景は、やはり活気があるとはいいがたいです。
まとめ

いかがでしょうか。今回は、老朽化マンションに住むメリットとともにデメリットについてお話ししました。
鉄筋コンクリート造建築の物理的な寿命は、100年以上とも言われています。ですから、実際にまだまだ老朽化マンションに住む選択肢は、私達に残されているのです。
しかし、老朽化マンションで快適な暮らしを実現するためには、あらかじめリスクも想定しておく必要があります。
それをしないことには、今は何も問題がなくてもあとあと大きな後悔をしてしまうことでしょう。今回お話ししたデメリットもぜひ参考にしてご検討ください。
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